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福島地方裁判所 昭和48年(わ)66号 判決

判決書

本店所在地

福島県いわき市平字橘下一七番地の三

名称

佐藤建設合資会社

代表者氏名

佐藤一二

本籍

福島県いわき市平字尼子町四五番地

住居

福島県いわき市平字橘下一七番地の三

職業

会社役員

氏名

佐藤一二

年令

三七年(昭和一〇年七月一五日生)

右 名に対する各法人税法違反被告事件につき当裁判所は検察官内田都出席の上審理をして次のとおり判決する。

主文

被告人佐藤建設合資会社を罰金三〇〇万円に、同佐藤一二を懲役四月に処する。

被告人佐藤一二に対しこの裁判が確定した日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

罪となるべき事実

被告人佐藤建設合資会社(以下被告会社という)は、福島県いわき市平字橘下一七番地の三に本店を置き、出資金一七〇万円で土木請負業を営む合資会社であるが、

第一  同会社の従業員で、経理全般を担当し預金の管理等をしていた佐藤あい子において、右会社の業務に関し、法人税を免れる目的をもって外註工費・修理費等を架空計士し、売上を除外する等の不正な方法により、昭和四四年四月一日から同四五年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が二六、七〇五、七五四円で、これに対する法人税額は八、九一一、一〇〇円であったのにかかわらず、昭和四五年六月一日所轄いわき税務署長に対し、当該事業年度の所得金額が四、二一三、六六二円で、これに対する法人税額が一、〇八四、八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって被告会社の右事業年度の正規の法人税額八、九一一、一〇〇円との差額七、八一六、三〇〇円をほ税し

第二  被告人佐藤一二は、前記会社の代表社員として、同会社の事業全般を統括していたものであるが、同会社の業務に関し、法人税を免れる目的をもって、前同様の不正な方法により

(一)  昭和四五年四月一日から同四六年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が一二、二六〇、六八九円で、これに対する法人税額が四、〇七四、七〇〇円であったのにかかわらず、昭和四六年五月三一日所轄いわき税務署長に対し、当該事業年度の所得金額が三、七〇二、八〇四円で、これに対する法人税額が九七五、七〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって被告会社の右事業年度の正規の法人税額四、〇七四、七〇〇円との差額三、〇九九、〇〇〇円をほ脱し

(二)  昭和四六年四月一日から同年七月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が八、二五四、一三八円で、これに対する法人税額が二、八九〇、八〇〇円であったのにかかわらず、同年九月三〇日所轄いわき税務署長に対し、当該事業年度の所得金額が一、一三八、三四四円で、これに対する法人税額が二九四、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって被告会社の右事業年度の正規の法人税額二、八九〇、八〇〇円との差額二、五九六、七〇〇円をほ脱したものである。

(なお、右各事業年度における所得の内容は、別紙一、二、三の各修正損益計算書のとおりである。)

証拠の標目

判示事業全部について

一、被告人の当公判廷における供述

一、被告人の警察官に対する各供述調書

一、被告人の収税官吏に対する各質問てん末書

一、被告人と結木時子連名の上申書

一、被告人と佐藤あい子、鈴木啓子、小島数馬連名の上申書二通

一、佐藤建設合資会社の登記簿謄本

一、葉山喜祐の検察官に対する供述調書と収税官吏に対する質問てん末書

一、磯辺重孝、鈴木佳江、鈴木明雄、福井政二、新妻和子、志倉祐友、山崎光、国府田博之、小平平三の各上申書

一、鈴木啓子の検察官に対する供述調書と収税官吏に対する各質問てん末書

一、佐藤あい子の検察官に対する供述調書と収税官吏に対する各質問てん末書

一、鈴木明雄、福井政二、大平徳子、佐藤弘文の各収税官吏に対する質問てん末書

一、松永平八郎の請負工事関係の取引内容の照会についてと題する書面

一、大谷博、長谷部正儒、滝本成子、岡崎昇検、中野良夫、長谷部 の各取引内容の回答についてと題する書面

一、佐藤隆治の仕末書

一、高橋一康の薄外領金調査書

一、押取してある売上帳一綴(昭和四八年押第二〇号の )、同領収書控九冊(同号の七)、同領収書一冊(同号の八)、同売上外註メモ二枚(同号の九)、同売掛帳二綴(同号の一〇、一一)、同手帳一冊(同号の一三)、同契約書一通(同号の一五)、同工事現場図面一枚(同号の一六)、同領収書二枚(同号の一七、二五)、同領収書控一冊(同号の一八)、同請求書控三冊(同号の一九)、同精算メモ三枚(同号の二〇)、同請求書一五枚(同号の二一)、同家計簿一冊(同号の二二)、同工事請負契約書二通(同号の二三、二六)、同見積書一通(同号の二四)

判示第一の事実につき

一、押取してある法人税確定申告書(自昭和四四年四月一日至昭和四五年三月三一日)一綴(昭和四八年押第二〇号の二七)、同売上簿一綴(同号の一)

一、脱税額計算書(自昭和四四年四月一日至昭和四五年三月三一日)

一、未納事業税額計算書(自昭和四四年四月一日至昭和四五年三月三一日)

一、法人税修正確定申告書謄本と同再修正確定申告書謄本(自昭和四四年四月一日至昭和四五年三月三一日)

一、山崎幸一、大竹原一、本多博、納指源三、佐藤敏則、近藤利一郎、佐藤諸命、橋本勝利、玉川鶴蔵、水野勝博、横田万造の各収税官吏に対する質問てん末書

一、赤津重、飯島正秋、岡部富弥、金成倶秋、金成勲、大野アキヨ、久保田好、北林清、加藤武久、阿部伸美、馬目武重、馬目弥一、四倉サツ、丹野正三、岡田八郎、岡田武夫、高萩幸枝、加藤英子、木村八郎、鈴木勝三、広川統一、節内征二、太田誠、須藤清照の各上申書

一、鈴木重夫、佐藤喜市、柴田静、高橋利雄、吉田重信、矢野倉幸雄、渡辺博、重清三郎、鈴木寛、田村泰男、馬目欽一、千葉常敬、船生隆充の各取引内容の回答についてと題する書面

一、桜山隆一の理立と金負支払と題する書面

一、田村泰男の取引関係書類送付についてと題する書面

一、森喜範の取引内容照会に対する回答書

一、山野辺昇の田盛土工事と題する書面

判示第二の事実につき

一、大友公佳、井川みさをの各上申書

一、柴田一郎の検察官に対する供述調書と収税官吏に対する質問てん末書

判示第二、(一)の事実につき

一、押取してある法人税確定申告書(自昭和四五年四月一日至昭和四六年三月三一日)一綴(昭和四八年押第二〇号の二八)、同請求書(控)一冊(同号の一二)

一、脱税額計算書(自昭和四五年四月一日至昭和四六年三月三一日)

一、未納事業税額計算書(自昭和四五年四月一日至昭和四六年三月三一日)

一、法人税修正確定申告書謄本と再修正確定申告書謄本(自昭和四五年四月一日至昭和四六年三月三一日)

一、佐藤旭寿、長沢泰輔、太田誠、加藤英子、斉藤清照の各上申書

一、飯田千鶴子、石川アサコ、根本弘治、草野央子、松本トシ子の各取引内容の回答についてと題する書面

一、笹越清三の取引内容回答書

一、坂本行隆の回答書

一、東海林鬼一の佐藤建設との取引についてと題する書面

一、三浦一郎の検察官に対する供述調書と収税官吏に対する質問てん末書

一、松本正一、水野勝博の各収税官吏に対する質問てん末書

判示第二の(二)の事実につき

一、押取してある法人税確定申告書(自昭和四六年四月一日至同年七月三一日)一綴(昭和四八年押第二〇号の二九)、同売上帳一冊(同号の二)、同請求書控一冊(同号の五)

一、脱税額計算書(自昭和四六年四月一日至同年七月三一日)

一、未納事業税額計算書(自昭和四六年四月一日至同年七月三一日)

一、法人税修正確定申告書謄本と再修正確定申告書謄本(自昭和四六年四月一日至同年七月三一日)

一、丸山文胖、鈴木光の各取引内容の回答についてと題する書面

一、高橋ヨシ子、高畑ミサ子、大谷直、大竹昭子の各上申書

一、斉藤博の検察官に対する供述調書と収税官吏に対する質問てん末書並びに取引内容の回答書

一、船生金平、渡辺忠男の各収税官吏に対する質問てん末書

法令の適用

被告会社の判示各所為は、いずれも法人税法第一五九条第一項、第一六四条第一項に該当するところ、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから、同法第四八条第二項により各条所定の罰金の合算額の範囲内において、又被告人佐藤一二の判示第二の各所為は、いずれも法人税法第一五九条第一項に該当するから、所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから、同法第四七条本文、第一〇条により犯情重いと認める判示第二、(一)の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内において、主文第一項掲記のとおり、それぞれ 刑裁断し、被告人佐藤一二については刑法第二五条第一項を適用して、この裁判が確定した日から二年間その刑の執行を猶予する。

よって主文のとおり判決する。

昭和四八年六月二九日

(裁判官 関口敬)

右は謄本である。

昭和四八年六月二九日

同庁

裁判所書記官 鈴木勉

別紙1 修正損益計算書

自昭和44年4月1日

至昭和45年3月31日

〈省略〉

〈省略〉

別紙2 修正損益計算書

自昭和45年4月1日

至昭和46年3月31日

〈省略〉

〈省略〉

別紙3 修正損益計算書

自昭和46年4月1日

至昭和46年7月31日

〈省略〉

〈省略〉

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